ヨガ哲学の小部屋「重たい荷物はそっとおろして」 加藤香耶

ヨガ哲学の小部屋、今回は加藤香耶先生です。
担当クラス:
月曜10:00-11:30 入門
木曜10:00-11:30 入門
土曜11:00-12:30 OPEN

ヨガの経典ヨーガスートラには、次のような言葉があります。
「不貪(アパリグラハ)が揺るぎないものとなったとき、自らの生の原因と様態が余すところなく照らしだされる」

ヨーガスートラの編者パタンジャリは、貪ることをやめれば、人生の因果関係、自分自身の人生の意味が見えてくると言います。

食べ物に目がくらんで食べ過ぎれば、胃腸が重たくなって病気を招きます。
荷物を抱え過ぎれば、まっすぐ歩けず行きたい場所へたどり着けません。

私たちは誰もが幸せでいたいと願っています。
貪欲さによって健康が損なわれたり、快適な毎日を過ごせなくなったりすることがわかっているからこそ、自分自身のその行為に気づいては悩むのでしょう。食べ過ぎることをやめれば、身体にとって本当に必要な食べ物を厳選する楽しみが訪れます。抱え過ぎた荷物の中から本当に必要なものだけを選べば、軽やかに歩むことができます。
心身にのしかかる不要な荷物を手放すことは、それらの苦悩から解放されて、幸せな毎日を過ごすための智慧であると、ヨーガスートラは説いているのです。

この冬、夫の実家を取り壊し、二世帯住宅への建て替えが始まります。夏には私たち一家も引っ越します。設計や内装の段階からみっちりと打ち合わせを行い、慌ただしい日々が続いていますが、希望通りの家を建ててもらうためのその打ち合わせは楽しいものでした。床や壁、洗面台やキッチンなど、家を構成するもののすべてを「標準」と呼ばれるオーソドックスな仕様から、好みのものに変更したい!と張り切ってカタログを取り寄せ、ショールームを見て歩きました。
あれこれ選んだ結果、当初の予算を大幅に上回り、何もかも標準外の仕様にすることは、現実的ではないことがわかりました…

義両親世帯の打ち合わせの様子を見てみると、ほとんどの仕様を標準のままで、工務店の人に、キッチンやバスルームをグレードアップしなくて良いのか?と聞かれても、義母はすべての質問に「見本通りで良いです」「そのままでいいです」と答えています。夫の希望は「寒くなければ良い」それだけです。私ひとりで欲張っている…と気がつきました。

趣のある木の床材や、同じく木で作った階段の手すり。使い勝手の良い回遊式のキッチン、オリジナルの洗面台。標準仕様にしたところで、生活ができないものではありません。「全部標準に戻そうかな」と、一度選んだものの大半を却下して白紙に戻すことを夫に伝えました。
半分がっかりしたような、でも予算内に収めることができて安心したような気持ちでいたのですが、それを知った義母が「長く住むのはあなた達なのだから、少し予算をはみ出ても、使い勝手の良いものにした方が良い」「何でも気に入ったものにした方が楽しいよ」と言いました。
その言葉で、確かに、楽しく住むのがいちばんだと気が付きました。家を建てるのは何のためか?家族と楽しく暮らすためです。そのためには、内装の雰囲気も、水回りなどの使い勝手も、大切なのです。
そこから、厳選作業が始まりました。
全員が長時間を過ごす居間の床は趣のある木材にして、寝る時間だけを過ごす寝室は床も壁も標準仕様に。子ども部屋は汚れやすいから、雰囲気よりも掃除のしやすさを重視して標準に。毎日使うキッチンや洗面台、バスルームにはこだわりました。自分の欲しいものを詰め込む家作りではなく、本当に必要なものは何かを見極めることで、家族のための家づくりを楽しむことができました。

心や体が消化不良を起こす前に、重たい荷物を手放しましょう。
そして本当に必要なものだけを見極め、軽やかな毎日を過ごせますように!

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自宅の建設予定地

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