ヨガ哲学の小部屋「チャレンジ」 望月紗耶

今回のヨガ哲学の小部屋は望月紗耶先生です。
担当レッスン:
火曜日 10:00-11:30 OPEN
火曜日 15:00-16:30 入門
火曜日 19:30-21:00 OPEN
日曜日 11:00-12:30 入門

「チャレンジ」

ヨガの根本経典「バガバット・ギーター」には、このような教えがあります。
「執着を捨て、成功と不成功を平等のものと見て諸々の行為をせよ」

何か新たな行動を起こそうと考えたとき、多くの人はまず頭の中でシミュレーションし、その取り組みの結果として自分の思い通りの成果が得られるかどうかを想像すると思います。想像の結果、自分の思い通りの成功や得が得られそうであれば行動に移しますが、一方で実現が難しいと判断した場合にはそのリスクを恐れ、せっかくの新たな挑戦の芽を実行に移すことなく摘み取ってしまう。誰しもそのような経験があるのではないでしょうか。

たとえば、ある人が意中の人をデートに誘おうと考えているシチュエーションです。
デートに誘う前、まずは自分をアピールするためにあの手この手で意中の人の気を惹こうとするでしょう。そして、いざデートに誘おうと決心した時、ここで多くの人が先程のシミュレーションを頭の中で展開するのです。「これだけ事前にアピールしたんだから、誘ったら当然OKしてくれるだろうな」、「いやいや待てよ、前回のメールではちょっと反応が薄かったな。あれは何か気に障ることをしてしまい怒らせたのでは」、「いや、でも昨日職場で顔を会わせた際には特段変化はなかったから、思い過ごしかな」、「あ、でも・・・」と無限ループがはじまるのです。男女のことですから、やってみないとわかりません。どれだけ種まきをしても、成功するかもしれないし失敗するかもしれない。

しかしながら、シミュレーションの結果でリスクを恐れ、実行に移さないという方は少なくないと思います。失敗のもたらす「断られたらどうしよう」や「今までの努力が水の泡になってしまう」、「傷つきたくない」。これらの考えは、ヨガではエゴ(利己)と捉えています。このエゴのせいでリスクを恐れ、行動に起こさないことは自分自身の成長、さらなる高みへの到達を阻害することに他なりません。行動を恐れることは、すなわち変化を恐れることです。変化を恐れるものには、今以上によい状態、今以上によい世界は臨めないのです。そのようなエゴに打ち勝つのが、このギーターの教えです。

まず「執着を捨て」とありますが、これは結果に囚われることのないよう、つまりリスクを計ることをしないということを言っています。行為の結果は成功か失敗のいずれかですが、そのどちらにも同じだけの価値があると説かれているのです。失敗から学び、そこから得られることはたくさんあり、その経験こそが人生における糧となり生きるための智恵となるのです。どんな行動もエゴにより止めることなく行動に移していく。私たちの失敗に対する恐怖心から解放し、背中を押してくれる教えなのです。

4月末、休日を利用して友人と自然公園に行くことにしました。場所は埼玉県上尾市にあり、その公園は最寄り駅から車で20分かかる場所であるため、私たちは車で行くことにしました。私も友人も車を持っていませんが、レンタカーではなく普段は家族や親戚から車を借りています。その日も普段のように借りようとしましたが、あいにくどの車も使われており、唯一残っていたのが自宅の近所に住む親戚のおじさんが所有しているハイエース(11人乗りの大きなバン)でした。友人と私は一瞬、「これか…」と悩みましたが、せっかく貸してくれたのでハイエースで行くことにしました。自宅からその公園までは1時間程ですが、運転の腕に自信のない私は、当然ハイエースなんて運転できるわけがないと思い、友人に運転を頼みました。そして何事もなく無事公園に到着して、広い敷地をおしゃべりしながら歩き回りそのひと時を十分に堪能しました。

帰りの時間になると、想定外なことが起きました。
ひたすら歩いて疲れたのか、友人は「疲れたから帰りは運転して」と言ってきたのです!

完全に油断していた私は、「こんな大きな車私には無理だよ!」と拒みました。ですが既に遅く、友人は助手席で寝てしまいました。「絶対に無理だよ・・・」と思いながらも、仕方がないので運転してみることにしました。エンジンを付けて発進。恐い恐いと思っていると5分後、すぐに限界がやってきました。右折も左折も恐いし、緊張と不安な心のままで運転しては身が持ちません。「道が広くて停車しやすい場所に停めて、運転を代わってもらおう」そう思った私は、車を停めやすい場所を探します。しかし、そんな都合良くは道幅が広い道路はすぐに現れません。どの道も交通量が多く「ないな~、ここもダメだな~」と。また10分そしてまた10分・・・時間が過ぎていきます。そうこうしているうちに、気がつくと自宅に着いてしまいました。

結局、帰りの道は、自分で運転することができたのです。
「着いちゃった・・・。私にはこんな大きな車無理だ!とか思っていたけれど、全然無理じゃなかった。単なる思い込みにすぎなかったんだ」っと、人間やればできるということを体験しました。これからは、やる前から無理なんて言わず、チャレンジしていこうと思います。

自分の勝手な思い込みで「できない」、「私には無理」と決めつけ、自分の可能性を潰してしまうのはもったいないことです。失敗を恐れずチャレンジできるかできないかによって、自分の人生が大きく変わるかどうかが決まるのかもしれません。たとえそれが小さなチャレンジだとしても、自分のなかでは大きく成長するでしょう。

やるか、やらないか人生の分かれ道。
勇気を持って新しい世界の扉を開いていきましょう。

3月写真
無事に到着できた記念に。
緊張が解けて少し疲れた顔をしています。笑

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